新型コロナウイルスの危機管理
新型コロナウイルスが騒がれ始めて1年が経ちました。
日本では、いまだに感染者の全数把握が行われ、ワクチン接種も始まっていません。
つまり、1年間ずっと状況が変わらず、同じことを続けているわけです。
2009年の新型インフルエンザを振り返ると、4月にメキシコで初めて発生が確認されて以降、5月初めに日本国内で初感染が確認され、7月には国内での全数把握の廃止とワクチン生産の議論が行われています。
秋から第二波が始まり、全数把握を行っていないため確定的な数字は分かりませんが、11月のある1週間には全国で164万人が新型インフルエンザに感染したと推計されています。ワクチン接種もこの頃から始まっています。
またWHOは、世界の主要国の中で、日本が最も死亡率と入院率が低いと発表しています。
2010年3月末には新型インフルエンザの対策が一旦終了し、名称も「インフルエンザ(H1N1)2009」となって季節性インフルエンザと同じ扱いになりました。
また同じ年の8月には、WHOがパンデミックの終息を宣言しています。
なぜ新型コロナが収束しないのかについては、また別の機会に考えるとして、新型インフルエンザと比べてなぜコロナの対策は進み方が遅いのかを少し考えてみます。
一つは、日本の対策が、世界の流れに引っ張られてしまっている、ということです。言い換えれば、日本は世界に合わせて対策を進めている、ということです。
その例が、ワクチンです。
新型インフルエンザは、国内でワクチン生産体制を構築できましたが、新型コロナについては、現時点で海外メーカーのワクチンに頼らないといけない状況です。
したがって、コロナの場合は国内の事情だけで対策を進めることができません。
もう一つは、WHOの動きです。
新型インフルエンザの時は、世界で初めて発生が確認されてから、WHOは早々に病原性が低い可能性を示唆しており、日本もそのことを踏まえて弾力的に対策を進めることができました。
今回の新型コロナについては、いまだにはっきりした方向性がWHOから示されておらず、ただ警戒するよう言うばかりで、日本は、圧倒的に感染者の多い欧米と同じような警戒レベルを強いられています。
日本も、世界とは一線を画した独自の対策を取っても良いのですが、政治的決断や国民感情のコントロールができず、ワクチン頼みの対策をダラダラ続けているのです。
新型コロナに関して日本が行うべき危機管理と言えば、医療崩壊を防ぐことだと思います。
新型インフルエンザの時には、現在の新型コロナに比べてもっとたくさんの患者が発生していましたが、医療崩壊と言われるような状態にはなりませんでした。
ここに危機管理のヒントがあると考えているのですが、長くなったので、今日はこのあたりで終わりたいと思います。